子どもが朝食を食べないことで起こる影響と健康リスク

今、「朝食を抜く子ども」が増えていることが社会的な関心を集めています。朝食を抜くという習慣は、一見すると忙しい朝の中で仕方ない行動のように思えますが、実際には子どもの学力や集中力、感情面、そして将来の健康にも影響を与える深刻な問題です。
この記事では、朝食欠食が子どもにどのような悪影響をもたらすのかを、最新の研究や統計データをもとに詳しく解説します。

片山 拳心(KATAYAMA KENSHIN)
三重県松阪市のサンパーク1階で、こども運動教室to JOY(トゥージョイ)の代表を務めています。
キッズスイミングスクールやフィットネスジムでの指導経験に加え、消防士として多くの現場にも携わってきました。
現在は、消防を退職後に、科学的根拠に基づく安全で楽しい運動教室を開業。
保有資格
- 運動遊び実践サブリーダー(NPO運動保育士会)
- 子育て脳機能アドバイザー/ディレクター
- 幼児運動遊び実践アシスタント
- キッズコーディネーショントレーナー(KCT)
朝食を抜く子どもが増えている現状と背景
朝食欠食の背景には生活リズムの乱れや、夜型生活の増加、さらには保護者の就労環境の変化による朝の食事準備時間の不足など、複数の要因が絡み合っています。
また、家庭の食習慣や文化も大きな影響を及ぼします。親世代が朝食を軽視していると、子どもも自然と朝食を抜く傾向が強まります。
- 生活リズムの乱れ(夜更かしや遅起きによる朝食欠食)
- 家庭の習慣や文化による朝食欠食の固定化
- 朝の準備時間不足で子どもが朝食を抜く状況
文部科学省の調査では、小中学生の約1割が朝食を抜く習慣を持つとされ、この割合は生活環境によってさらに高まる場合があります。

朝食は子どもの体と脳のエネルギー源です。抜く習慣がつく前に、しっかり食べる環境を整えてあげましょう
朝食欠食が子どもに与える学力・集中力への影響
朝食欠食は、子どもの学力や集中力に直接的な悪影響を及ぼします。朝食は脳に必要なエネルギー源を補給し、学習効率を高めるために不可欠です。特に学校生活が始まった直後の時間帯は、新しい情報の吸収や記憶の定着に重要な時間であり、朝食を抜くことでその効果が大きく損なわれます。
朝食を抜く子どもの学力低下と集中力減退
システマティックレビュー(Hoyland et al., 2009)では、朝食を食べた子どもは欠食した子どもと比べて、注意力や記憶力などの認知機能が優れていると報告されています。特に、家庭環境や経済的理由から栄養不足に陥りやすい子どもでは、この差がより大きくなります。
- 授業中の集中力の持続時間が短くなる
- 記憶力や理解力が低下しやすくなる
- 問題解決能力の発揮が難しくなる
さらに、朝食を抜くことで脳へのエネルギー供給が不足し、授業や学習の効率が著しく低下します。これは、脳が主なエネルギー源として糖質を必要とするためで、欠食状態では脳の働きが鈍くなります。
朝食を抜く子ども(朝食欠食)が直面する感情・行動面の悪影響
朝食欠食は、学力や集中力だけでなく、感情や行動にも影響を及ぼします。エネルギー不足によって情緒が不安定になり、日常生活の中で小さなストレスに過剰反応する傾向が見られることがあります。
また、こうした感情や行動の乱れは、学校生活や家庭生活における人間関係にも影響を及ぼし、友達との関係性や学級内での協調性にも悪影響を与えます。
朝食欠食によるイライラや感情コントロールの乱れ
朝食を抜くと、血糖値の変動によって情緒が不安定になりやすくなります。些細なことで怒ったり、落ち込みやすくなるのも、エネルギー不足が感情調整を妨げるためです。
- 怒りやすくなるなど情緒が不安定
- 落ち着きがなくなる
- 人間関係での摩擦が増える
こうした感情の起伏は、家庭内のコミュニケーションや友達関係にも影響を与え、子どもの社会性の発達にもマイナスに働く恐れがあります。
朝食を抜く子どもの社会性への影響
感情面だけでなく、朝食欠食は行動面にも影響します。授業中の落ち着きのなさや、集団行動での協調性の欠如などが見られる場合があります。
- グループ活動での集中力不足
- ルールを守れない傾向が出やすい
- 学級での居場所感が低下する
長期的に見ると、これらの傾向は学業成績や学校生活の満足度にも悪影響を及ぼすため、家庭や学校での対応が不可欠です。



朝食を抜く習慣は、学習面だけでなく子どもの心にも影響します
朝食欠食が子どもにもたらす長期的な健康リスク
朝食を抜くことは、一時的な体調不良だけでなく、長期的な健康リスクにも直結します。成長期の子どもにとって、毎朝の食事は体の発育と免疫の維持に欠かせない役割を持っています。
朝食欠食の習慣が続くことで、肥満や生活習慣病、さらには精神的な不調のリスクが高まることが、多くの研究で指摘されています。
ADHDやうつ症状のリスク
遺伝的手法を用いた研究(Zhang et al., 2024)では、朝食欠食が注意欠如多動性障害(ADHD)やうつ症状の発症リスクと因果的に関連している可能性が示されました。
- 精神的ストレスへの耐性低下
- 不安感の増加
- うつ症状のリスク上昇
短期的な気分の乱れだけでなく、欠食が習慣化すると長期的なメンタルヘルスの問題につながる恐れがあります。
肥満や代謝異常のリスク
朝食を抜くと、次の食事で過剰にエネルギーを摂取する傾向があり、肥満や血糖値の乱れにつながります。これにより将来的な生活習慣病のリスクも高まります。
- 内臓脂肪の増加
- 血糖値の不安定化
- インスリン抵抗性の発症リスク
特にインスリンの働きが不安定になりやすい子どもでは、欠食習慣が代謝異常を招きやすくなります。
朝食欠食ゼロを目指して今日からできること
本記事では、子どもの朝食欠食による影響と健康リスクをご紹介しました。朝食を抜くことは集中力・学力・感情面に悪影響を与えるだけでなく、発育や免疫、将来の健康にも深く関わります。
生活リズムを整え、朝食をとる時間を確保することは、子どもの健やかな成長にとって欠かせません。毎日の朝に、少しの「食べる時間」と「食べる工夫」で、お子さまの一日を、そして未来を、元気に支えていきましょう。
引用論文
論文タイトル:A systematic review of the effect of breakfast on the cognitive performance of children and adolescents
概要:1950〜2008年の45件の研究を分析し、朝食を摂る子どもは欠食する子どもに比べて注意力・記憶力・認知機能が高い傾向を確認。特に栄養不足の子どもで効果が顕著に現れた。
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19930787/
論文タイトル:Causal effects of breakfast skipping on mental health and cognition
概要:Mendelian Randomization手法を用い、朝食欠食がADHD・うつ症状リスクおよび認知機能低下と因果的に関係する可能性を報告。
URL:https://bmcpsychiatry.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12888-024-05723-1
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